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薬剤師国家試験が、どれほど大変なものなのか、知っているんですかね?

2021/06/22

 以前、勤めていた予備校でのこと。ある会社の人と仕事の関係で、一緒に大学を訪問することとなった。こちらとしては大学訪問は毎度のことなので、特に気にすることもなく、あちらこちらの研究室を回っては、その会社の人を紹介し、色々と話をしていったのだが…。研究室回りも一通り終え、帰途に就く最中のこと。その会社の人がこんなことを口にした。

 薬学部って、こんなに色々な研究室があるんですね。私も大学に行っていましたが、こんなにたくさんの種類の研究室はありませんでしたよ。まあ、文系っていうのもあったかもしれませんが…。しかも、法律関係や公衆衛生、微生物学とか、私たちが考えると『 薬学って、こんなことも勉強するの? 』といような研究室もあったりして…。薬学に、こんなにたくさん研究室があるとは思いませんでしたね。

 薬学出身である我々からすれば、当たり前のようなことだが、どっこい他人の目から見ればそうではないようだ。確かに薬学部の研究室は、その種類も様々であることは確かである。そして、どの研究室も薬剤師国家試験に関係している。逆の言い方をするならば、それほど多くの分野から問題が出題されているということ。しかも、345題という題数で…。おまけに、どの分野もそれ相応の難易度である。

 薬学部を卒業したということは、そういった広い範囲の科目の単位を取得して来たということである。さらに研究室として直接存在してはいないが、CBTやOSCEという試験もあり、当然、卒業するためにはクリアしなければならないし、実習だってクリアしなければならない。そういった関門をクリアすることができずに、薬学を去る人間も決して少なくはない。更に、最後には卒業するための卒業試験というものまで控えている。これとて、決して簡単なものではない。ほとんどの大学が、卒業試験は国家試験の過去問がらみの試験だったりするが、前述したようにその内容たるや、広い範囲で深く出題されているものなのだ。おまけに10年分くらいが、試験範囲であったりする。こういったものを全てクリアできて、晴れて薬学卒業となる訳である。もちろん、留年や卒業延期等でストレートにいかない人が多いことも忘れてはならない。そんな関門をクリアできて来た人間が、晴れて国家試験受験にたどり着くことができるのである。

 私が、何を言いたいのかというと…薬剤師国家試験対策は大変だということ。そして、国家試験を受験する所にたどり着くまで、すなわち薬学部を卒業して来たということも、それはそれは大変なことだということ。ハッキリ言わせていただくが、そういった薬学部卒業の大変さ、そして国家試験対策の大変さを知らない人間、経験したことが無い人間に、軽々しく試験対策云々の話をして欲しくないということ。

 別に、薬学出身でない人を蔑視している訳ではない。しかし、薬剤師国家試験を軽く見ているような言動を取ったり、薬学部出身者を軽んじるような発言をする人は少なくない。私は薬剤師国家試験の予備校の講師をして久しいが、そういった人達とお会いしたことは星の数ほどある。そして、そういった人達が薬剤師国家試験対策を軽く捕らえるような話をしたり、薬剤師国家試験で結果を出せなかった人に関し、軽々しい評価をするたびに…まあ、ハッキリ言ってしまうが、不愉快な気持ちにならざるを得ないのも事実である。

 『 過去問をやっていれば受かるんだろ 』などと、したり顔で言っていたりする。過去問をやっていれば受かるほど、薬剤師国家試験は簡単なものではない。恐らくそういった人達は、そこら辺の有象無象の資格試験と薬剤師国家試験を一緒にしているようだが…笑止千万とはこのこと。『 雲泥の差がある 』などといったどころの話ではない。中には、薬剤師国家試験の合格率(それも新卒の)を見て、『 薬剤師国家試験はさぁ、85%の人が受かる試験なんだから… 』なんてサラッと言ってのける、(薬学出身ではない)人間がいたりするが…ハッキリ言いたい。『 じゃあ、お前受けてみろ! 』と…。『 試験対策やってみろ! 』とも言いたい。私は200題の頃の薬剤師国家試験を受験したが、それとて『 85%の人が受かる試験だから… 』なんて簡単に口にできるほど、試験対策は甘いものではなかった。そんな200題の頃の試験対策をやってきた私でさえ、『 85%の人が受かる試験だから… 』なんて言われたら逆上するのである。それ程のことを言っているのだという自覚は…おそらく無いのだろう。

 だいたい、薬学の過程を経験していないことはもちろんのこと、試験対策もやったことが無ければ、薬剤師国家試験を受験したこともないのに、何故、そう簡単に試験対策や薬剤師国家試験に大して、軽々しく口を出すことができるのだろう?もちろん、薬学出身者ではない人間が全員、こういった軽んじた発言をするわけではない。中には…イヤほとんどの人は『 薬剤師国家試験は大変ですよね… 』と口にしている。自分が経験したことが無いモノに対する謙虚な、そして当然な姿勢である。普通に考えてみれば医療系の国家資格であるのだから、簡単ではないこと位は予想が付くはずである。『 薬剤師国家試験は大変ですよね… 』といった発言は、そういったことからの発言なのだろう。これが普通の人の対応だと思うのだが…。

 更には国家試験が不本意な結果となってしまった人に対し、『 コイツ、受からなくてさぁ… 』『 受からなくて困ったもんだよ… 』などという具合に、侮蔑的な発言をする人もいたりするから、憤慨極まりない。誰だって、好き好んで不本意な結果となったわけではない。それ相応の試験対策、それも前述したように、経験したことが無い人には分からないほどの過酷な試験対策をやってきているのだ(まあ、受験生の中には、そうではない人も若干いるようではあるが…)。ましてや、そこにたどり着くまでにさえも、多くの難関があり、それを乗り越えてきているのだ。そういった人間に対して、無経験者が『 受からなくて困ったもんだよ… 』などと、軽々しく発言するのは如何なものだろうか?『 お前、(試験対策)やったことあるのかよ 』『 じゃあ、お前やってみろよ 』という言葉が、口をついて出てくることになるのも、至極当然のことではないだろうか?

 やはり、こういったことが起こる原因は、前述のように薬剤師国家試験というものがどういうものなのか分かっていない、それなのに軽く見られているからに他ならない。もちろん、国家試験受験までの過程も、さして分からずに軽く見られていることも言うまでもない。どれだけ過酷なものなのか知らないのだろうから、ある意味、仕方が無いのかもしれないが…しかし、知らないのだからこそ口を出さないのが大人としての行動ではないだろうか?ましてや、分かるはずがなかろう試験対策にまで口を出してくるとなると、こちらが閉口してしまう。薬剤師国家試験対策歴ン十年の私に対しても、平気で『 試験対策というものは… 』などと言い放ったりする。中には『 あんな試験は過去問やっときゃ受かるんですよ 』などといった内容を平気で口にしたりで、逆にこちらは開いた口が塞がらない…といった状況になることも、よくある話。そんな人達を目の前にしていると、私の頭の中には、フトこんな言葉が湧き出してくることになる。『 こういう人が側にいるから…こういった人間と接しているから、学生さんは国家試験で不本意な結果を出すことになったんだ… 』といった言葉が…。そう、そんな人間と接していれば、まともな試験対策などというものができなくなるのは、当然の話である。

 心配するなとは言わない。しかし、薬剤師国家試験というもの、そしてその試験対策の過酷さが分からない人間は、ヘタに口を出さないでもらいたい。知りもしないのに、余計な発言をされると、試験対策を行っている当人の足を引っ張ることになるからである。本当に、当人のこと思うのなら、試験対策には口を出さず、静かに応援してもらいたいものである。少なくとも、そちらの方が試験対策の結果が喜ばしいものとなる確率が高いはずである。薬剤師国家試験というもの、そしてその試験対策の過酷さが分からない人間が、試験対策に口を出すということは、間違いなく合格率の低迷に貢献していることになると私は思っている。知りもしない人間が、試験対策で困惑している人間に対し、『 過去問をやっていれば受かるよ 』『 参考書とか3回やれば大丈夫だよ 』などと軽々しく発言することが、合格に貢献することではないことだと、よくよく考えてみればお分かりいただけることではないだろうか?私はそう思うのだが…。

 

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