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ダイエットと国家試験

我慢:感情や欲望のままに行動するのを抑え堪え忍ぶこと。辛抱すること。

〔大辞林より〕

 昨今の学生さんは、我慢ができない人が多いよう思う。『 国家試験対策で、何を我慢する必要があるのか? 』と思う人もいるかと思うが…。かくいう私も『 隣の人がうるさい 』だの『 嫌がらせに近いことをされている 』などといった相談には、『 試験対策に来ているのだから、何も我慢する必要はない 』と、それ相応の応対をさせてもらっている。しかし、ここで私が言っている『 我慢する必要はない 』は、試験対策の支障になったり、勉強を続けていく上で障害となることに対して『 我慢する必要はない 』と言っているのであって、『 何でもかんでも我慢する必要はない 』と言っている訳ではない。

 試験対策を行っていく上では、当然ながら我慢しなければならないことが、いくつもある。試験対策を行うには、当然、勉強に費やすための時間というモノが必要になる。残念ながら、誰にとっても1日は24時間。何かをするためには、何かをするための時間というモノを、この24時間の中から捻出しなければならない。試験対策を行っていない時なら自由に使えた時間も、そこから削って勉強の時間を捻出しなければならないことになる。当然、『 アレもやりたい、コレもやりたい 』等と言っている場合でないことは、言わずもがな。『 やりたいことをやること 』を、少々我慢しなければならなくなる。

 試験対策自体においても、我慢しなければならないことは沢山ある。自分が苦手な科目も…我慢して勉強しなければならない。難しいことや分からないことも、勉強しなければならない。覚えなければならないことも、たくさんある。教える人も、自分お望み通りのタイプではないかもしれない(もちろん、いい加減な教え方をしているのならば、我慢する必要はないのだが…)。講義の延長もある。やらなければいけない課題もある。試験結果も今一つ思い通りにならない、etc…。まあ、試験対策というモノを行っていれば、当たり前のように遭遇する話。私はン十年、薬剤師国家試験に関わってきているが、こんなことは日常茶飯事…というか、試験対策を行う上で当たり前のように出てくる事象である。何故ならば…何でもかんでも、自分の思い通りに事が進むはずなどないからである。試験に限らず、対策とはそういうものである。自分の思い通りに事が進まないからこそ、我慢が必要になる。

 しかし、昨今の学生さんは『 何でもかんでも自分の思い通りに事が運ぶ 』と思って…いや『 何でもかんでも自分の思い通りに事が運ばなければイヤ 』という人が圧倒的に多いようである。あまり大きな声では言えないのだが…以前いた学生さんなどは、皆の前で大きな声で、『 私は単位が危なくなると、ママに電話させて… 』なんていうことを平然と言ってのけていた。恥ずかしさも、疚しさもないのだろう。何といっても、皆の前で堂々と言うのだから…。

 何でもかんでも思い通りでなければイヤ。思い通りに進まなければイヤ。そこに我慢はあるのだろうか?正直、私は今の学生さんが羨ましいと思うことが多々ある。私も大学で非常勤講師をしているが、学生さんからのアンケートや意見が普通にとられ、評価の一環として手元に届く。『 あなたの講義は、学生さんから見て… 』といった内容であるが…そのようなアンケート調査を行っている大学は少なくないようだ。はっきり言わせていただくが…薬学の貢献者たる偉大なる先生方への批判のようになってしまうのだが、決して批判ではないことをご理解いただきたい。私が大学生の頃など、正直、分かる講義の方が少なかったのが事実である。何やら偉い先生だそうだが、講義を聞いていてもサッパリ分からない…そんな講義ばかりだったような気がしないでもない。ちなみに…これは、色々な大学の先生方に同じ話をして、『 先生の頃はどうでした? 』と聞いたところ…やはり、今は大学で教える身分となられた先生方も私の意見に同意してくれたので、間違いないようだ。そう、昔の大学の講義は、学生にとっては難解なものである場合が、ほとんどだったのである。

 では、そのような分からない講義に関して、不平不満を連ねたか?そんなことできるはずもない。相手は、講義を受け持っている先生だ。不平不満を言う前に…というか、前述のように大学の講義とは、そのようなものだというのが当たり前であった。同時に『 分からない俺って、学力が無いんだな 』とか『 自分の学力が無いから聞いていても分からないんだ 』と、自分に対してフィードバックしていた。まかり間違っても『 分からない講義をしている先生がよくない 』などと思うことなどなかった。分からないけど、講義にはでなければならない。イヤ、分からないからこそ講義に出て、黒板に書いたことや先生が話したことをノートに書き留めておかなければならない。何といっても、試験をクリアしなければならないからだ。今と違って、試験範囲など教えてくれることもなかった。講義でやったことすべてが試験範囲。何が出るかなんか分かるはずもない。とにかく全範囲を必死に覚えていた。お分かり頂けたことと思うが…受講から試験対策に至るまで、我慢の連続である。でも仕方がない。単位を取らなければならないのだから…。

 国家試験対策でも同じである。合格して、免許を取らなければならないのだ。そのためには我慢しなければならないことなぞ、正直、山のようにある。アレもやりたい、コレもやりたい、ついでに国家試験にも合格したい…というのは、正直な話、ムシが良すぎるといったところ。確かに、そういうやり方で国家試験に合格していった人もいなくはないが…そういった人は綿密な長期計画を立て、じっくりと試験対策に取りかかっていた人である。長期計画であるからして、やはり我慢ずべきことも長期我慢というのも致し方ない話。しかし、一気に我慢するのと違い、我慢の度合いも軽いものであることも事実である。

 試験対策での我慢は、ある意味、ダイエットの我慢に似ているかもしれない。食べたいモノを少々我慢する。食べる量もチョット控える。やりたくはないけれど、少々運動もしなければならない。そういった、チョットした我慢なのである。大きな我慢ではないはずである。イヤ、逆に大きな我慢をしてしまうことの方が、後々大きな支障をきたすことになる場合が多い。ダイエットも『 何も食べない 』『 ○○しか食べない 』『 水しか飲まない 』などという、無理な我慢をしてしまえば、健康を損ねてしまうことになる。試験対策においても『 寝ないでやる(睡眠時間を削る) 』『 何百題もの問題を一気にひたすら解き続ける 』『 食べている暇がもったいないから、キチンとした食事をしない 』などといった、無理難題な我慢をしていると…やはり後ほど大変なことになってしまう。

 ご存じのように、ダイエットをするためには、アレも食べたい、コレも食べたい…ということを我慢しなければならない。そこからダイエットが始まる。そして、無理なく続けて目的を達成しなければならない。それと同じように、試験対策もアレをしたい、コレもしたい…ということを我慢しなければならない。そして、やはりそこから試験対策が始まるのである。そして…やはり同じように、無理なく続けて目的を達成することが重要である。ダイエットも試験対策も同じである。無理のない我慢をしながら、時間をかけて目的を達成させるのだから…。

 試験対策も佳境に入ってきた、今日この頃。中には〝無理なダイエット〟のような勉強をしている人もいるかもしれない。無理は必ずたたる。そこの所を、しっかりと押さえていてもらいたいと思う。そして…我慢というものが必要であることも、しっかりと押さえてもらいたい。我慢しすぎるのも良くないが、かといって我慢しないことも間違っている。ダイエットも試験対策も、それ相応の我慢が必要なのである。無理をせず、そしてアレもコレもするのではなく、程良い我慢を心がけながら、しっかりと試験対策を行っていってもらいたい。そして、合格を勝ち得てもらいたい。そう願っている次第である。

 

 

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