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お化けのいないお化け屋敷

 夏はお化けの季節。テレビから雑誌から、果てはネットまでもが夏になると、お化け一色になる。まあ、ネットは一年中、お化け一色のページも多々存在しているようであるが…。それでも、夏にあると気合に入り方が違うようである。やはり、夏はお化けの季節であるからして、ここは一段と派手にお化けを盛り上げてもらいたいものである。

 夏に行われる様々なイベントにも、お化けたちは大活躍である。幽霊画展や怖い話のトークイベントなど花盛りである。もちろん、お化け屋敷等の体験型(?)お化けイベントも盛りだくさん。各テーマパークは、これでもかという位に趣向を施した、怖いお化け屋敷を作り上げては、集客に躍起になっている。そして、そのお化け屋敷に足を運ぶ人も多く、ご盛況とのこと。何とも景気のいい話ではないか。

 私も、そういった〝テーマパークにあるお化け屋敷〟に行ったことはあるのだが…。確かに怖かった。正直、狼狽えてしまう位、怖かったのは事実である。足が進まない…どうしていいのか分からない…。一人で入らなかったのが不幸中の幸い。まあ、おそらく一人では入らないだろう。そこの所は小心者であることは認める。閑話休題。同伴者がいたからこそ、何とか進めたし、どうにか出てくることも出来たのだが…何とも怖いモノであった。私が子供の頃に入ったお化け屋敷は、こんなに怖かっただろうか?

 実は、テーマパークのお化け屋敷にはい行った時も、様々なテーマパークのお化け屋敷の情報を得た時も、私の中にはある違和感が生じていた。確かに怖いし、怖そう。しかし…お化けがいない…。〝呪い〟があったり〝曰く〟があったり〝祟り〟があったり…〝怨霊〟がいたり〝復讐する霊〟がいたり、〝とりつき殺そうと襲ってくる邪霊〟もいたりする。しかし…お化けがいない…。恐怖はあるが、お化けはいない…。

 そもそも〝お化け〟とはなんだろうか?

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ばけもの。妖怪。変化(へんげ)。
死人が生前の姿になってこの世に現れるというもの。幽霊。

デジタル大辞泉より

 

 何物かが霊能によって姿を変えたもの。特に、異様・奇怪な形をしたものをいう。
 ばけもの。死人が再びこの世に現れたときの、想像上の姿。幽霊。

大辞林より

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とある。なるほど…幽霊もお化けに入るらしい。となると〝怨霊〟も〝復讐する霊〟も〝とりつき殺そうと襲ってくる邪霊〟も、お化けという括りになる。そうなると、お化け屋敷にいるのも当然であろう。そう言えば、私が子供の頃に入ったお化け屋敷にも幽霊(もちろん本物ではないフェイクの方)がいたような…。だが、昨今のお化け屋敷の幽霊とは違い、もっと幽霊幽霊していたような…。昨今のお化け屋敷にいるのは〝幽霊〟ではなく〝霊〟のような…。『 じゃあ、幽霊と霊の違いって何なの? 』と聞かれても困ってしまうのだが…昨今のお化け屋敷の〝霊〟の方は、ずいぶん生々しいような気がする。人の形はしているものの、念と言うか、恨みと言うか、そういったモノを身にまとった、〝本物の人間のネガティブな性〟をもったもの。そんな〝霊〟が演出されているよう思える。実際、人が演じている場合が多く、より一層それを感じてしまうのも演出なのだろうか?少なくとも『 お化け 』よりも『 念や恨みといった〝本物の人間のネガティブな性 』の方が、存在感が強いお化け屋敷であることは間違いないと思う。

 前述の様に、私が子供の頃のお化け屋敷にも、幽霊はいた。ただし、人が演じている訳ではないし、仕掛けもそんなに凝ったものではない。墓の陰から機械音とともに、白い衣装で頭の上に天冠(三角の白い布のこと)をつけた、如何にも〝作り物〟といった幽霊が姿を現す程度である。まあ『 怖い 』というよりも『 驚く 』『 びっくりする 』感の方が強かった気がする。霊ではないお化けも沢山いた。沼らしきオブジェで釣りをしている人間(もちろん人形)達が、カッパが出てきて驚く。ろくろ首の首が伸びる。からかさ小僧が跳ねている。提灯お化けが上下している。う~ん、お約束だったなぁ…。そんな〝お化けがいるお化け屋敷〟。でも、どういう訳か、また入ってしまう。次にお化け屋敷が来るのを楽しみにしている(私の実家の方では、お化け屋敷は常設のものではなく、祭りの屋台の一つとして興行されていた)。そんな、お化け屋敷だった。

 確かに昨今のお化け屋敷にも〝霊ではないお化け〟がいなくはない。しかし、ゾンビだったり、得体のしれない異形のものだったり、やはり今一つ〝お化け〟という言葉にそぐわないような、そんな感じがする。先ほど『 本物の人間のネガティブな性 』と書かせていただいたが…やはりゾンビ等の昨今のお化け屋敷の〝霊ではないお化け達〟にもそれは感じられる。そのせいだろうか…昨今のお化け屋敷には、〝お化け屋敷〟という言葉がそぐわないような気がる。『 ホラー 』や『 スリラー 』と言った言葉の方が適切ではないだろうか?怖いことは間違いない。しかし、肝心の〝お化け〟はいないのだから。

 昨今のお化け屋敷の住人達に比して…カッパやろくろ首、からかさ小僧などの〝昔のお化け屋敷の住人達〟に、どことなくポジティブなものを感じてしまうのは、私だけだろうか?愛着が無いとは言えないが…我々には理解できない怖いモノ。念や恨みや復讐…そういった人間のネガティブな性を一切感じさせない。どこから来るのか、どこにいるのかもわからない。不思議で怖いもの。それが、昔のお化け屋敷の住人達だったのではないだろうか?だからこそ、得体のしれない不気味さがあったのではないだろうか?そう、人間以外の何かが存在する。闇の中に潜む理解できない何か…。人間が理解できない何かがある。それを知ることの恐怖。これこそが、昔のお化け屋敷の演出だったのではないだろうか?

 前述のように、昨今の夏のイベントでは、お化け屋敷はご盛況である。私も足を運んでみようかな…などと思っていたりする。と同時に…昔のお化け屋敷にも行ってみたいと思っているのも確かである。イヤ、どちらかと言うと、昔のお化け屋敷の方が、行ってみたいという欲求が強い。墓の陰から機械音とともに白い衣装でで出てくる幽霊、沼らしきオブジェから出てくるカッパ。首が伸びるろくろ首、跳ねているからかさ小僧。彼らに、そして彼らの仲間達にまた会いたいと心底思っている。チープと言えば失礼かもしれないが、だからこそ愛着があったあのお化けたち。いろいろ調べては見るのだが、なかなか会えないのが事実。残念なことに、昨今のお化け屋敷に彼らはいない。恐怖はあるが〝お化けのいないお化け屋敷〟なのだから。〝お化けのいるお化け屋敷〟を探しているのだが、どうも探すことが出来ない。まあ、お化けとはそういうモノであるからして、探すのも容易でないのはこれ然り。見つけたら、是非とも〝お化けのいるお化け屋敷〟に入ろうと思っている。まあ、入ったら入ったで、また昔のように、ビビりまくりなのは目に見えているのだが…。

 

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