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メガなのか?

 M:メガ…ご存じ「10」。薬剤師国家試験を受験する人は、必ず覚えておかなければならないSI単位の接頭語です。単位に関しては私が教えている範囲でして、学生さんには「キロ、メガ、ギガ位までは覚えておいてね。なんかゴロもいいでしょ!」と教えています(で、この後「テラまで行っちゃいましょうか」というセリフが入るのですが…)。キロ、メガ、ギガ…これもご存じだと思いますがk:キロの「10」から「×10」ずつ数値が上がって行く接頭語で、M:メガの「10」、G:ギガの「10」となります。メガは「10」ですから「1,000,000」すなわち「百万」となる訳です。

 で、最近どういうわけか、この〝メガ〟をよく見かけるのです。皆さんもご存じだと思いますが、飲食関係ならハンバーガーの〝メガ○ック〟や、丼ものの〝メガ○丼〟なんかはおなじみですし、〝メガ盛り〟なんていう盛り方(?)も良く目にします。私が先日行った、件の〝ガリガリ君サワー〟を置いてある居酒屋なんかでは〝メガチューハイ〟なんていうメニューもありました。この〝メガ〟という言葉、汎用されているのは飲食物だけではないようで、ディスカウントストアなんかでは〝メガ○ンキ・ホーテ〟なんていうお店もあるのはご存じだと思います。

 随分汎用されているな〝メガ〟…。どちらかと言うと科学用語、あまり一般人には馴染みのない言葉だったはずであるが、ここ数年ですっかり市民権を得てしまったようだ。だが良く考えてみれば、その意味は「百万」。ハンバーガーの〝メガ○ック〟や、丼ものの〝メガ○丼〟は、果たして何が「百万」なのだろう?〝メガ〟とつく料理の特徴は「量が多いこと」。ということは…ハンバーガー1個だとか、○丼1杯を「1」として、その100万倍の量なのだろうか?イヤ、そんなことはあり得ないはずだ。調べてみるとハンバーガーは、店によって結構差があるらしいが、店舗によって1日500~600個程度売れるらしい。1日1500~2000個以上売れる店もあるそうだが、どう考えてみても100万個には遠く及ばない。〝メガ○ック〟を1個頼むには、500個の売り上げをする店舗が2000店舗必要ということになる。〝メガ○丼〟だってそうだ。丼ぶり100万杯…。以前、諸種の理由により○丼販売を休止していた○野屋さんが、○丼を復活させたところ、1日で100万食が完売したという話があった(100万食…おお!愛しの100万!正真正銘の〝メガ〟だ)。とうことは、やはり丼ぶり100万杯に相当するメガ○丼(ちなみにメガ○丼は○野屋さんの商品ではありません)も、それ1杯頼むには半端な店舗数では不可能ということになる。やはり、ここで使われている〝メガ〟は、100万倍の量を表しているのではなさそうだ。では、これらの〝メガ〟は一体何を意味しているのか?

 「何を意味しているのか?」良く考えてみると、数字というのは「そのままの数」を表しているだけではない。数字は「己自身が本来持つ数量的な数」以外の「数」を併せ持つ場合が往々にしてあるのだ。例えば「百面相」などという言葉がある。さまざまな顔に変えてみせたり、表情を色々と変えて表現する芸であるが、何も表情や顔の種類がピッタリ100ある訳ではない。「百貫デブ」という言葉もある。まあ、もの凄く太った人を指す言葉だが…1貫 = 3.75キログラムだから、100貫は375kgということになる。関取史上で最も重いのは小錦さんだったそうで、その体重は284kg。どんなに太っているといっても、小錦さんより90kg以上重いという位太っている人間なぞ、そういないはずだ。つまりココで言う「100」という数字は「数量的な100」ではなく、「大きい」という意味で用いられている数字なのだ。「万歩計」や「万華鏡」の〝万〟にも、同じことがいえる。なにも「数量的に万」ということではないのだ。ということは…メガにも同じことが言えるのではないか?

 第8代、第10代東洋バンタム級王者であったボクサーの青木勝利さんは「メガトン・パンチ」と称された強打を持っていたそうだ。もちろん「メガトン」=「100万トン」=「100万×1000kg」のパンチ力を持っていたわけではない。恐ろしいほどの強打を称して「メガトン・パンチ」と呼んだのだ。前述の「百面相」や「万歩計」と同じように、実際に「10」という「数量的な数」を表しているのではなく、単に「もの凄い」ということを意味するために〝M:メガ〟という言葉が使われたのである。「百面相」「千客(多くの客のこと)」「万国(あらゆる国のこと)」と、時代の流れとともに出世魚よろしく、〝表現する数〟も大きいものが使われるようになっていったのであろう。そして、ついには現在汎用されている〝M:メガ〟、すなわち「100万」の登場とあいなったのであろう。

 昔は「百面相」「百害(多くの害)」「百代(はくたい:長い年月)」というように「百」が、大きい数値を表すのに用いられていた。それが今や、その一万倍である〝M:メガ〟が汎用されるようになったのである。まあ、スケールが大きくなることは悪いことではない。この世知辛い世の中、大きく大きくいきたいものである。〝M:メガ〟の次に大きい接頭語は「10」である〝G:ギガ〟。今や「ギガ嬉しい!」なんて言葉も平気で使われるようになってきている。嬉しさが「ギガ:10」なんて、なんとも良い話ではないか。どうもしっくりしない世の中だら、嬉しいことがあった時に「ギガ:10」どころか「テラ:1012」くらい、その嬉しさを堪能してみた方が良いのかもしれない。前述の〝メガ○ック〟や〝メガ○丼〟だって、確かにその名称を聞くと「食べ物が沢山で、豪勢で嬉しい感覚」になる。どうやら大きい数字は、人の気持ちも気分も大きくさせるようだ。そういう意味で使われるなら、〝メガ〟だろうが〝ギガ〟だろうが、いやいや、どうせなら「ヨタ(Y):1024」くらいまで、どんどん、どんどん使っていって、嬉しい気分にさせてもらいたいものである。

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