イメージ画像

侮るなかれ!

 

 先日、ある大学の先生とお話していた時、チョット困った顔で次のようなことを話してくれました。『昔と比べ、最近は国家試験というものを軽く捕えている学生が多い。「ちょっと勉強すれば受かるんだろう」とか「これ位でいいだろう」とか、国家試験対策というものを、そういうふうに捕えている。薬剤師になろうとしている人間がそれだと困る』とのこと。確かに、私も予備校の講師という仕事を数十年やってきましたが、昨今の学生さんは、国家試験というものをチョット軽く捕えているなという感があります。と同時に、国家試験対策というか、試験勉強そのものも、簡単に考えている学生さんが多くなっていることにも驚かされています。

 大学の先生方がよく言うのが「CBTに受かったということがネックになっているみたいだ。どうも、国家試験をCBT程度に捕えているようだ」ということ。もちろんCBTはCBTで、れっきとした試験。十分な対策が必要であることは間違いありませんし、CBT合格ということも、立派な一つの結果であることは間違いありません。しかし、基本的にCBTと国家試験は全く別のものなのです。確かに必須問題に関しては、本質的な部分に関して似通っている部分が無きにしもあらずです。ところが、国家試験全体を見た場合、特に出題の70%以上を占める一般用問題に関しては、似て非なるどころか、その本質が全くと言っていいほど異なる別種の試験と言っても過言ではありません。ですからCBTに合格したからといって、全く別種の試験である国家試験にそのままスライドできるかといえば…まさに「木に登りて魚を求む:手段を誤れば、何かを得ようとしても得られないということ。また、見当違いで実現不可能な望みを持つことをいう(故事ことわざ辞典より)」となってしまいます。CBTと国家試験は、本質が全く異なる別の試験であること。当然、その対策も全くと言っていいほど異なるものであることを、肝に銘じておいてい下さい。

 国家試験というものを軽く捕えている学生さんが多いのは、CBT云々だけではないような気がします。CBT云々を差し引いても、どうも薬剤師国家試験を軽く捕えている学生さんが多い…イヤ、年々多くなってきているのは事実だと思います。「昔は今と違って…」といって、昔と今を比べては色々と語るということは、私はあまり好きではないのですが…。実は先日、二十数年ぶりに教え子(女性)と会う機会がありました。久しぶりの対面ということもあり、当時の話に花が咲いたのですが、そこで彼女がしきりに口にしていたのが「とにかく大変だった」「とにかく必死だった」ということ。彼女が受験したのは、薬剤師国家試験がまだ200題のころ。現在と比べると題数も145題も少なく、当然試験範囲も現在ほどは広くはありませんでした。なのに、とにかく必死だったという彼女。二十年以上たった今でも、彼女が必死だったことは明確に覚えています。「絶対合格します」「何としても受からなきゃ」と必死に勉強していた姿は、今でも脳裏に焼き付いています。だから、彼女が合格した時は喜びも一入でした。

 昨今の学生さんを見ていると「絶対合格します」「何としても受からなきゃ」という意識が薄いような感じがするのです。もちろん、前述の彼女にも負けないくらいの必死さを持っている学生さんもいます。しかしそういう学生さんは、どちらかと言うと少ない部類です。私が感じるのは「これくらいやっておけばいいだろう」とか「こんなもんだろう」というふうに、勉強をやる上でラインを引いてしまう学生さんが多いということ。どうも、その根底には「薬剤師国家試験なんて、ほとんどの人が受かるんだろ?」とか「ちょっと勉強すれば合格するんだろ?」といった、薬剤師国家試験を軽視している傾向があるような気がするのです。

 私はよく言います。「合格の秘訣は一点でも多く取ること」と。国家試験では何が起こるか分かりません。自分の苦手な所ばかり出題されるかもしれません。自分の得意な所が難しいかもしれません。しかし、それでも合格しなければならないのです。好き嫌いは関係ありません。得意不得意も関係ありません。好きであろうが、嫌いであろうが、得意であろうが、不得意であろうが1点取らなければなりません。その積み重ねが、合格点へと続くのです。自分で見切りをつけて「こんなもんだろう」とやっている限り、その合格点へとつながることは難しいでしょう。勉強をやる上で自分のラインを引いてしまうのは勝手ですが、国家試験の合格ラインはその遥か彼方にあるということを忘れないでいて欲しいのです。侮ってはいけません。確かにほとんどの人が合格する試験であることは事実です。だからといって侮ってはいけないのです。国家試験対策を、楽観的を通り越して呑気に考え、呑気に取り組んで残念な結果になった人を、今まで星の数ほど見てきました。侮ったら侮った分だけ、国家試験は間違いなくそのしっぺ返しを食らわせてきます。侮らず、「これくらいやっておけば…」などという考えは捨て、地に足のついた試験対策を地道に行って、1点でも多く取ることを忘れない。これが、合格への一番の近道だと思います。

 一方は「これで十分だ」と考えるが、もう一方は「まだ足りないかもしれない」と考える。そうした、いわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む。

by  松下幸之助

このエントリーを含むはてなブックマーク Buzzurlにブックマーク livedoorクリップ Yahoo!ブックマークに登録

ブログ 薬進する日々!!の新着記事

このページの先頭へ