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試験対策:蟹は甲羅に似せて穴を掘る。

2023/01/08

【 蟹は甲羅に似せて穴を掘る 】

 大きな蟹は大きな穴を、小さな蟹は小さな穴を砂に掘って住まいとしている。人は自分の身の丈にあった考えや行動をとることが一番良いということの例え。

会話で使えることわざ辞典&ことわざ・慣用句の百科事典 より

 人は自分の身の丈にあった考えや行動をとることが一番良い…。まあ、『 身の丈に合った 』という言葉を使うと、どうも『 小さくまとまりなさい 』と言っているようで、あまり好きではないのだが…。私流に言わせていただくならば『 自分というモノを考えて、それに見合ったやり方で進めていきなさい 』といったところだろうか?それが、この『 蟹は甲羅に似せて穴を掘る 』という言葉である。

 まずは、自分自身というモノをしっかりと捉えなければいけないということ。できる方なのか、できない方なのか?パッとできる方なのか、時間がかかる方なのか?基礎はある方なのだろうか、無い方なのだろうか?自分の勉強方法を知っているのだろうか、分かっていない方なのだろうか?時間管理はできる方なのだろうか、できない方なのだろうか?はたして、そういった事を考えて試験対策に取り組んでいる学生さんは、どれほどいるのだろうか?私が知る限り、まず、いないと言ってもいいだろう。

 学力がない学生さんが、学力のある学生さんと同じことをやって、果たして同じような効果を得ることができるだろうか?おそらく、この問い関して『 同じような効果を得ることはできない 』と答える人の方が圧倒的に多いのではないだろうか?普通、考えてそうであろう。学力がある人は、学力のベースがあるのだから、それに基づいたやり方でやっている。だから、それ相応の効果を得ることはできよう。しかし…学力がない人にはそのベースがない訳だから、同じ方法でやったところで、同じ効果など期待できるはずがない。こんなことは、小学生でも分かることである。表面だけ、見様見真似で行ったところで、同じ効果など得られるはずがない。

 なのに…薬剤師国家試験対策の世界では、コレと同じことをやる学生さんが圧倒的に多い。つまり、学力があり、成績もいい人のやり方をマネしてやるということ。おそらくこの背景には、『 できる人のマネをするのがいい 』とか『 成績のいい人のやり方をマネするといい 』といった言葉があると思うのだが…。この言葉の真意については、ブログ等でも色々と書かせていただいているので詳細は省くが…。『 上手い人のマネをする 』というこの言葉の真意は『 猿真似をしろ 』とか『 表面だけマネしろ 』といったものではない。おそらく、ここの所も分かっている人は少ないと思うのだが…この真意を分かっていなければ、『 上手い人のマネをするのがいい 』という言葉ほど危険なものは無いだろう。まあ、『 上手い人のマネをするのがいい 』という言葉は、自分でその意味が分かった時以外は、使わない方がいいことは確かである。

 手際よく器用にできない人が、器用な人のマネをして上手くいくだろうか?何事にも時間がかかる人が、パッとできる人のマネをして上手くいくだろうか?基礎ができていない人が、基礎ができている人のマネをして上手くいくだろうか?勉強のやり方も知らない人間が、勉強のやり方を知っている人のマネをして上手くいくだろうか?チョット考えれば、上手くいくはずがないことは分かるはずである。手厳しい言い方をさせて頂くならば、自分の学力の程度も考えずに『 あの人はこうやって合格したから 』などとマネしたところで、同じ成果など得られないということ。

 何事にも時間がかかる人が、パッとできる人のマネをして上手くいくはずがない。ここからが、対策というものの本質に入るのだ。〝対策〟とは『 相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段 』とある(デジタル大辞泉より)。つまり、試験対策とは『 受験勉強の状況に対応するための方法・手段 』ということになる。この『 受験勉強の状況 』こそ、『 自分の受験勉強の状況 』である。ここで、前述した『 自分自身というモノをしっかりと捉えなければいけない 』という言葉が出てくることになる。自分は基礎力はあるのか?学力はどれくらいなのか?時間がかかる方なのか?という具合に、自分自身というモノをしっかりと捉え、そして〝自分自身の受験勉強に対する状況〟を判断しなければならない。そして、そこから『 では、どのように試験対策を行っていくのか? 』といった策を講じることになるのである。

 『 自分は時間がかかる方だ 』という人なら、早めに試験対策を始めればいいだけである。難しいことでも何もない。実は、 皆が〝できる人〟と呼んでいる人たちは、こういう人たちなのである。『 自分はこういう人間だから、皆と違ってこうやっていかなければならない 』と判断し、努めていった人たちなのである。あの松下幸之助氏も『 学歴がなかったから、他人に素直に教えてもらおうと思った 』と述べている。『 学歴がない。だから色々な人から聞こう 』と対策を立てたと言ってもいいだろう。実際、松下幸之助氏は色々な人に色々な質問をすることで有名だったそうである。

 自分ができない方ならば、人一倍時間をかけて勉強しなければならない。基礎がないならば、人よりも多く基礎の勉強に時間をかけなければならない。自分の勉強方法が分からないのなら、やはり時間をかけてそのやり方を習得していかなければならない。そういった具合に、自分自身というモノをしっかりと捉え、自分を見据えた試験対策を行っていくことが重要なのである。試験対策とは『 できる人のマネをするのがいい 』とか『 成績のいい人のやり方をマネすればいい 』といった、簡単なものではない。まあ、表面だけの猿真似は楽であるからして、皆、楽な方に流れてはしまうのだが…。そう、『 できる人のマネをするのがいい 』とか『 成績のいい人のやり方をマネするといい 』と口にしている人は、人一倍時間かけたり、早くから試験対策に取り組むことをしたくない人間なのである。楽をしたいだけ。この一言に尽きると言ってもいい。そのための口実。それが『 できる人のマネをするのがいい 』とか『 成績のいい人のやり方をマネするといい 』という言葉なのである。手を抜きたいための口実の言葉くせに、やたらと汎用されて実しやかに流通している。こんな危険な言葉は他にないと言ってもいい。

 蟹は甲羅に似せて穴を掘る。自分自身の甲羅に合わせて、穴を掘るのである。他の蟹の甲羅に合わせてではない。自分自身の甲羅の大きさを知っている。だから、自分自身の甲羅に合わせて穴を掘るのである。我々も蟹を見習わなければならない部分は沢山あるが…。こと試験対策を行う人間にとっては、見習わなければならない部分は大きいはずである。自分の学力の程度は、どれくらいなのだろうか?自分は器用に勉強を進めていくことができるのだろうか?そういった〝試験対策における自分の甲羅の大きさ〟を知り、その甲羅に合わせた対策を講ずる、すなわち穴を掘ることが重要なのではないだろうか?人の甲羅の大きさを真似て穴を掘ったところで、そんな穴は何の役にも立たないのだから…。

 

 

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