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懐かしき大衆食堂の味。

 先日、所用のため地方に出かけたのだが、おりしも当日は雨の降る寒い日となった。所用を済ませた後、昼食でも取ろうということになったのだが、何せ風雨激しい寒い日。何か温かいものでも食べようということで、駅前の路地にあった中華料理屋で食べることに。店の中は、4人がけのテーブルが6つほどと、奥には4人がけのテーブルを3つならべた団体用の席が一つ。テーブルやイスは、決して洒落たものではなかったが、どこか懐かしさを感じさせるもの。店の中も凝った装飾などはなく、どちらかと言うと小ざっぱりした感じ。お昼時なのに天気のせいか、埋まっているテーブルは3つほどであった。何を食べようとメニューを見ると、ラーメンやタンメン、チャーハンに中華丼等の中華料理が載っているのだが…。よく見るとカレーライスやら、オムライスも載っていたりする。裏面を見るとソバやらうどんも載っているし、かつ丼やら玉子丼、天丼なんかも載っている。中華料理屋か?

 前述では〝中華料理屋〟としたが、どうやら中華料理屋さんというよりは〝大衆食堂〟だったようである。誤解の無いように言わせていただくが、私は何も差別しているわけではない。中華料理屋も大衆食堂も、お客さんに美味しい料理を提供してくれる〝食べ物屋さん〟であることには変わりはない。単に、扱っているメニューが違うだけである。まあ定義はないのだろうが、私的な観点から言わせていただくなら「和洋中等の区切りなく、色々な料理を提供してくれる飲食店」が大衆食堂のように思う。そう、大衆食堂には何でもあるのだ。自分が子供のころには、こういった大衆食堂と呼べるようなお店が多かったように思える。そういうお店に入ると「何を食べようかな?」と考える楽しさも一入である。何せ色々な食べ物があるのだから。和食も洋食も中華もあれば、スパゲティーもあるしカレーライスもある。人間「何を食べようかな?」と考えている時は至福の時である。その選択肢が多くなればなるほど、その至福度も増すのではないか?確かに私が子供のころは、大衆食堂に入った時「何を食べようかな?」と楽しみながら迷っていた思い出がある。ン十年たった先日も、やはり昔と同じように大衆食堂のメニューを眺めつつ、何を食べるか楽しみながら迷っていた。

 そして、どういう訳かそういった大衆食堂には、美味しいお店が多いような気がするのは、はたして気のせいだろうか(もちろん当たりハズレはあるだろうが…)?さらに、いたってどの料理も美味しいような気がするのも、気のせいだろうか?色々な料理があるうえに、どれもが美味しい…。ある意味最強の飲食店と言えるのではないだろうか?実は前述の大衆食堂で、私はチャーハンとあんかけ焼きそばを食べたのだが、どちらも美味しかったのである。特にチャーハンに関しては、ここ近年食べたチャーハンの中で一番おいしかったのではないだろうか?以前「チャーハンの適正価格はいくらか?」というタイトルのブログ(2010年5月26日)の中で「街の中華料理屋さんの小麦色したチャーハン」について書かせていただいたが、まさにそんなチャーハンだった。具材も多く、小麦色。そして、ご飯と具材がパラパラとほぐれる。これぞ美味しいチャーハンの定義ではないだろうか(もちろん、そうでなくても美味しいチャーハンはあるが)?最近は具材が少なく、色白の〝気取ったチャーハン〟が多いような気がする。〝ほぐれる感〟もなく、味もどこか今一つのものが多いような気もする。大衆食堂のチャーハンは気取ってはいないけど、「ホッとする美味しさ」があるように思うし、今回食べたチャーハンにもそれがあったのである。

 気取ってはいないが、ホッとする美味しさ。これも大衆食堂の魅力の一つではないか?「○○料理」と掲げた専門店の料理も、それはそれで美味しいのだが、大衆食堂の料理は庶民的な美味しさを持っているのだ。ましてや、色々な料理があるとくれば、やはり飲食店として申し分ないと言えるのではないだろうか? なのに悲しいかな、最近は大衆食堂というものを見かけなくなってきているのが事実である。それと逆行して「○○料理」と掲げた専門店が、多くなってきていることも事実だと思う。専門店も、それはそれでいいのだが、やはり私としては大衆食堂がもっとあっていいのではないかと思う。いや、もっと沢山の大衆食堂が出来ないかなとも思っているし、出来て欲しいのである。気取っていない、小ざっぱりした店内での「何を食べようかな?」という至福の悩みを、身近なモノにしたいのである。庶民的なホッとする味を、いつでも気軽に堪能したいのである。何とも贅沢な話かもしれないが、懐かしき大衆食堂にはその〝至福の悩み〟と〝庶民的なホッとする味〟が詰まっているのだ。そう考えると、大衆食堂とは何と贅沢な飲食店なのだろう!私の願いなんかよりも、大衆食堂というもの自体が、よっぽど贅沢なものなのではないだろうか?庶民的な贅沢さ。これもまた、大衆食堂の魅力の一つではないかと思うのである。

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