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たどり来て、未だ山麓

 私が大好きな升田幸三先生のお言葉。〝先生〟といっても薬剤師国家試験の先生ではありませんし、薬学の先生でもありません。もちろん、私は何の手ほどきを受けたこともありません。升田幸三先生は、将棋棋士で実力制第4代名人、日本将棋界の歴史を語る上で、欠かすことができない人物です。将棋の強さもさることながら、その人物、生き方の豪快さはとても魅力的!将棋以外の武勇伝も沢山あり、私はすっかり惚れ込んでしまい、恐れ多くも勝手に師と仰いでいる始末です。そういう私はほとんど将棋ができませんが、そんな〝将棋超初心者〟の私でさえも、すっかりほれ込んでしまうほどの、魅力的なお方なのです(ちなみに以前は全く将棋が指せませんでしたが、升田先生にほれ込んで勉強し始めました)。升田先生の書かれた本を何冊か読ませていただきましたが、豪快かつ大胆にして理論的な〝升田幸三〟という人物に、前述のごとく惚れ込んでてしまう結果となったのです。

 そんなお方ですから、当然、将棋の強さも棋士の中で群を抜いており、様々な偉業を成し遂げています。その偉業の一つが、将棋史上初の三冠(名人・王将・九段)制覇。この偉業を成し遂げた時に言った言葉が「たどり来て、未だ山麓」です。当時、誰もが無しえなかった三冠という偉業。この素晴らしい偉業を成し遂げたのに「三冠という最高峰(山の中でいちばん高い峰)に登りついたと思ったが、そこはいまだ麓(山の下の方)」つまり「ここまで登って来たけれども、まだまだだな」と言っているのです。〝豪快かつ大胆、されど謙虚〟といったところでしょう。なるほど、並みの強さではないはずです。

 講師の仕事を長く続けていると、この「たどり来て、未だ山麓」といった言葉が、身にしみてわかります。自分の教える教科を勉強して、資料を作成して、講義を組み立てて…。何年も教えている教科であっても、もちろん勉強しなおして、資料を作成しなおして、また新たな講義を組み立てて…とやっていきます。「よし、完璧だ!」なんて思ってはみものの、講義が終わった後には「ここをこうすれば…」「あそこはこうするべき…」「ここの説明は…」なんて反省点というか、課題は沢山出てきます。そうやって何年も何年もかけて講義というものを組み立ててきたんですが…「たどり来て、未だ山麓」といったところです。

 「たどり来て、未だ山麓」に関して、何やら「仕事は次から次へとやることが出てくるから、これで終わりなんてないんだよ。大変だァ~」的なニュアンスになってしまいましたが…実は「たどり来て、未だ山麓」は受験生にとっては、ものすごく大切な言葉なのです。私は学習指導でよくこういうことを言います。 「まあ、コレくらいの点数取っていれば良いだろう」といった考えは今すぐ捨ててください。「こんなもんだな」と自分でゴールを決めている限り、そのもっと先にある、国家試験合格へのゴールへは決してたどり着きません。

 勉強することに対して、自分で「こんなもんだろう」とゴールを決めている限り、成績は伸びませんよということです。出来る人に限って、テストで何点取ろうが、講義で多くのことを身に付けようが、決して納得しません。「まだまだ」と次のステップへ駆けあがろうとします。国家試験では何が起こるか分かりません。どんな国家試験であろうと、合格しなければなりません。そのためには「こんなもんでいいだろう」ではなく、「これも覚えなきゃ」「これも出来るようにしておいた方がいい」と様々な場合に対応できるように、学力を鍛錬していかなければならないのです。試験に合格するための、学習ラインは存在しません。つまり「これだけやれば、絶対合格しますよ」なんてラインは存在しないのです。ラインがない以上、学習し続けなければなりません。1つでも多くのことを理解して身につけていかなければなりません。まさに「たどり来て、未だ山麓」。 「ここまで勉強してきて、ある程度学力は身に付いたけれども、まだまだ」といった気持ちを忘れずに、国家試験対策を進めていって下さい。

 やはり升田先生の言葉に「勝負は、その勝負の前についている」という言葉があります。これもとても奥が深い言葉です。〝勝負の前〟とは何でしょう?それは、その勝負に対する取り組み方、すなわち「どう勝負すればいいか」という作戦であり、そのための訓練であり、勝負のための意気込みであり、etc…。「勝負時の要因が勝敗を決するのではなく、その前の〝勝負に対する取り組み方〟が勝敗を決する大きな要因なのだ」ということです。そして、これも受験生にとっては、ものすごく大切な言葉です。試験の時だけが重要なのではなく〝試験の前〟すなわち「どのように試験対策を行っていくか」という作戦や、そのための学習、合格するための意気込み…。そういったものがしっかり成されていれば、合格へと自然に導かれるだろう、ということも、この言葉は表しているのです。この言葉をしっかりと噛みしめて、国家試験対策を行っていって下さい。もちろん「試験対策をこれだけやっておけば大丈夫!試験前に、もう受かったようなもんだ!」とならないように「たどり来て、未だ山麓」という言葉も、しっかり認識しておいてください。

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