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モスラは今の日本を憂えいているのか?

先日、ザ・ピーナッツの伊藤エミさんが亡くなられたそうです。ザ・ピーナッツと聞いても、当ブログを読んでいる人達には、知らない人の方が多いかと思います。かくいう私もリアルタイムで彼女たちの活躍を知っているわけではありません。彼女たちと書きましたが、ザ・ピーナッツは双子の姉妹歌手。数々の名曲を世に送り出しています。ご活躍なされていた年代が、私が生まれる少し前から幼少期とあり、私も世に知られているほどの彼女たちの活躍を、リアルタイムで見ていたわけではありません。でも、ザ・ピーナッツについて、強烈に心に焼き付いていることがあります。それは、映画〝モスラ〟の中で彼女たちが演じた、体長が30cmほどの双子の妖精。巨大な蛾〝モスラ〟を守護神としてあがめ、巫女として仕えている双子の妖精の役を演じていたのが、忘れられません。

モスラは巨大な蛾の怪獣。映画はリメイクもされていますし、モスラが出てくる映画も少なくはありませんので、知っている人も多いのではないでしょうか。怪獣とはいったものの、モスラは太平洋某所に浮かぶ、ジャングルにおおわれた絶海の孤島である〝インファント島〟の守護神なのです(もちろんインファント島は実在しませんが)。インファント島の島民は、巨大な蛾「モスラ」を守護神として崇めて、ひっそりと暮らしていました。そこに、現代文明人が入ってきて…という具合に映画は展開していきます。モスラが公開されたのは、1961年。日本は、高度経済成長期といわれている時期の真っ只中にありました。エネルギーは石炭から石油に変わり、太平洋沿岸にはコンビナートが立ち並びました。東京オリンピックがあったり、大阪万博なんかが開催されたのも、この高度経済成長期です。国民総生産が、資本主義国家の中で第2位に達したのも高度経済成長期の特徴の一つ。日本自体が、敗戦から立ち上がって豊かになっていった時代なのです。そう、物質的に豊かに…。しかしその発展と、物質的豊かさとともに、環境破壊が起こりました。大量生産の反動ともいえる〝ゴミ問題〟などの公害の問題が発生したりもしました。さらに、水俣病やイタイイタイ病、四日市ぜんそくといった公害病も発生しました。そう、現代の我々が日常生活で抱えているような問題が発生した時期でもあったのです。日本国民が環境よりも経済成長を、精神的豊かさよりも物質的豊かさを優先した結果として産み落とされた申し子が、ゴミ問題や公害、公害病だったのです。

そんな時代の中、モスラは生まれました。モスラという映画が訴えたかったものは何だったのでしょう?この地球で生きとし生けるものは、例外なく大自然の法則というものの中で生きています。それを覆すことは何ものにも出来ません。人であれ、自然の一部。森羅万象の流れの中で生きていっているのです。しかし、人は経済発展の名の下に、その森羅万象の流れをかき乱すような行動をとってきました。その反動として、前述のような公害やゴミ問題が発生したのです。モスラはそれを訴えるための映画だったと私は思います。「本当の豊かさとは何?」それを思い知らせるための映画だったのだと。大自然の中では、人間の力など小さいもの。そして我々人間が、かなうことが出来ない脅威の力、存在があるのだと。それがモスラという存在だったのではないでしょうか?インファント島の人たちは守護神として、このモスラを崇めてきました。大自然の中には人間の力など到底及ぶことが出来ないものがある。そして、それは崇めるべき存在であり、同時に我々人間のエゴというものにブレーキを掛けてくれる存在でもある。映画では、それがモスラという存在として描かれていたように思えます。そして、その自然の驚異であり、その申し子であるモスラを敬うことによって、島民は平和に暮らしていくことが出来たのです。たとえ物質的には貧しくとも…。

映画の中では、モスラは日本に来て一大騒動を巻き起こします。しかし、それさえも人間のエゴで起こったことでした。人間のエゴが、自らを破壊する。自然の驚異を忘れたおごり高ぶった人間に、自然はその力を持って、自然の驚異を見せ付ける。そうして、我々は考えるのです。我々の力など、何とちっぽけなものなんだろうと。だからこそ、何を優先すべきか、何を大切にしなければいけないのだろうかと…。

高度経済成長期に、経済の成長と物質的豊かさを追求するあまり、あれほどの犠牲を出し、苦しんだ日本でした。しかし、40年以上たった今、我々日本人が対面している問題は、原発の再稼動がどうのこうのといった内容。その背後には〝弱きものに犠牲を強いる経済成長と物質的豊かさ〟といったものがチラチラと見え隠れしているような気がします。高度経済成長期の教訓は何も生かされなかったのでしょうか?「原発を止めると○兆円の…」なんていう言葉が飛び交う現代。絵に描いた餅にも等しいほどの安全管理・対策を声高にあげては、原発事故で苦しむ人達を尻目に、ゆっくりと、しかし確実に〝弱きものに犠牲を強いる経済成長と物質的豊かさ〟は、その目を再び覚まそうとしています。モスラがこんな日本を見たら何を思うのでしょう?自然の脅威であるモスラは、こんな日本を憂えてくれるのでしょうか?何度も同じ事を繰り返している日本に呆れるのでしょうか?映画〝モスラ〟の中でザ・ピーナッツが演じた双子の妖精が歌うモスラの歌。その歌詞は次のような内容でした。

モスラよ 永遠の生命 モスラよ  悲しき下僕の祈りに応えて 今こそ 蘇れ

モスラよ 力強き生命を得て  我らを守れ 平和を守れ

平和こそは 永遠に続く  繁栄の道である

平和こそは永遠に続く繁栄の道…いささか遠い道のりのような気がするのは私だけでしょうか?

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